錦鯉の新しいタイプの「穴あき病」の現状と対策について

(社)新潟県錦鯉協議会の平成9年3月19日開催の錦鯉養殖研修会資料の紹介 戻り
平成9年3月現在での資料です


病魚の特徴
 「穴あき病」症状は大幹部や鰭の付け根にも出るが、えら蓋、口噴、喉などの頭部に出ることが多い。
 稚魚の多くは眼球が突出し、ひどくなると脱落する。口顎の骨格も崩れ脱落することがある。また、外観的には軽症であっても斃死することもある。
 伝染性が高く、稚魚では斃死性も高い。
 高水温ほど病気の進行は早く、病魚は立鱗症で水膨れのようになる。
 低水温では病気の進行ハ遅いが、病魚ガ回復するわけではない。わずかな傷でも斃死する場合がある。

治療法
 従来の「穴あき病」の治療法では治りにくい。  現在は、動物用抗生物質(エフロキサシン)が見つかり、効果をあげている。

被害状況
 2歳以上にも発病するが、固体治療の艱難な稚魚での被害が多い。

原因
 ウイルスはマイナス。細菌は複数分離されたが原因菌は特定されていない。
留意事項
 治療薬が見つかり、病気の早期発見と早期に薬剤を投与することを勧める。また、重傷魚は隔離したほうがよい。  高い伝染性があるので、魚の移動にあっては、「穴あき病」の有無を十分に確認すること。  20℃以上の水温では病気の進行が早く、伝染力も強いので低水温飼育が望ましい。  すでに発病している池にあっては、完治するまで魚の移動は避け、また、斃死魚の廃棄は天然河川などに放棄しないで完全に焼却するなど、他への伝染を防ぐように徹底すること。  稚魚では従来の「穴あき病」の発生が少なかったことから、発病魚は新しいタイプの「穴あき病」と判断して良い。  2歳以上魚では従来の「穴あき病」も発病している可能性があるが、現時点では新タイプを疑う必要がある。
その他
市場対応
予防策の検討と責任出荷

春までの留意点
 発病したら、速やかに抗生物質の使用を勧める。
 野池に放養後も注意して観察すること。発病魚は他の群と隔離して養成した方が無難。
 採卵用の親魚は「穴あき病」に罹っていない魚を使用すべき。受精卵の管理は従来どおりとし、新たな消毒薬などの使用は慎重に。

品評会対策
 安定二酸化塩素を屋外で使用する場合は再度検討が必要。

動物用抗菌剤
 エフロキサシンは動物用の抗生物質であり獣医師の指示がなければ使用不可能。

-以上-


ここでは下記薬剤の使用方法等は掲載でません。
エフロキサシン:(商品名)バイトリル
安定二酸化塩素:(商品名)ビオトークとMH1

▼新穴あき病について - 全日本錦鯉振興会パンフレット